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Posted by naturum at

2020年10月21日

10月10日 長野県白駒池に紅葉を見に行く

2020年10月10日 小雨、気温10度
 つい一週間ほど前に愛する女優の一人の竹内結子さんが亡くなられたというニュースがあった。それで、この一週間は本当に落ち込んでいたが、気を紛らわすのに紅葉でも見に行きたくなった。以前どこかの雑誌に日本で最も美しい紅葉10選という記事があり八ヶ岳山麓にある白駒池の紅葉が紹介されていた。鏡のような水面に映る錦の楓といった記憶があった。そこで地図で調べると軽井沢から車で小一時間で行けるところにあったので行くことにした。
 ところで、竹内結子さんの主演作品の中で、私のお気にいりの一つに、「いま会いにいにゆきます」がある。市川拓司さんによるベストセラーのファンタジー恋愛小説を映画化したもので、最近、韓国版も愛の不時着のソン・イェジンが熱演し話題に。この竹内さんの「いま会い」のロケ地が八ヶ岳の麓の「蓼の海」という池なのだが、八ヶ岳で最も有名な「白樺湖」を挟んで、東の「白駒池」と西の「蓼の海」は丁度反対側に位置する。また東山魁夷の絵画「緑響く」で有名な「御射鹿池」も白樺湖の南に位置する。八ヶ岳山麓はまさに日本の最も美しい湖水地帯(池水地帯?)の一つであろう。
 朝、6時に起きて簡単に朝食を済ませ車に乗る。軽井沢周辺はのっぺり霧雨で覆われていて、おてんと様は見えない。昨日の天気予報では午前中は小雨で午後から晴れる予定であった。軽井沢インターから高速に乗り佐久平で南に韮崎方面に分岐して、茅野に至る国道299号(メルヘン街道という別名もある)の入り口近くで高速を下りてこの国道から白駒池を目指す。40分ぐらいで白駒池の駐車場近くまで来たが、既に渋滞しててすぐには駐車できなかった。他県からの自動車のナンバーも多くある。それでも運よく30分ほどで駐車できた。
 軽井沢では紅葉は色づき始めごろであったが、白駒池は標高が高いので信州でも紅葉する時期が最も早い場所だ。八ヶ岳や上高地が紅葉するころにはたいていは白駒池の紅葉は終わっているという。期待を胸に白駒池に至る苔の小径を緩やかに登ってゆく。雨はほとんど止んでいたが霧が苔むした秋の森に垂れ込んでいる。鮮やかな苔の青。苔の最も美しい時期は初夏だが、10月初旬なので秋でもまだまだ美しいのだろう。しっとりとした朝の冷たい空気が全身を包む。森のいい匂いが体に染み込む。
 15分ほど歩くと池のほとりに着いた。山荘の茶色の古屋が近くに見えた。池は、厚い霧に覆われていて30mほどしか視界が効かない。対岸は全く霧で見えないが、近くの木立が赤や黄色にきれいに紅葉しているのが見えた。これから何とか晴れてくれれば絵葉書で見るような湖面に写る紅葉の絶景がみれるのだが今日はどうだろう。時間はたっぷりあるので気ままに池を一周してみることにした。
 心は風景写真家になり切っている。ゆっくりゆっくり写真をとりながら歩いてみた。一周するのに一時間ぐらいの工程であろうか。道は昨日の土砂降りで大変ぬかるんでいたが、ほとんどが木道になっており足を滑らしさえしなければ比較的歩きやすい。細かな霧のような小雨が漂う。木道に赤や黄色の落ち葉が張り付き、色とりどりのスタンプのようになっている。そして木道の周りの苔とのコントラスト。美しい。生きて、この森にいる喜びを感じる。

 もしこの美しい朝の霧の森の紅葉を竹内さんが見ていたら、逝くのを躊躇ったのではないだろうか。東京の四角いジャングルの中ではこの美しい光景は想像もできないだろう。
 池を半分ぐらい歩いたところで、森の中で突然周囲から悲鳴がきこえた。突然霧が晴れて、対岸の紅葉した木立が一斉に現れ、湖面に面した道を歩いていた観光客が「キャーっ」と奇声を上げたのだ。急いで見通しの良い湖面に面した場所まで戻って対岸を見渡たした。以前見た記憶の写真通りに美しい紅葉だった。雑誌の写真というのは、ほとんどが修正されていて、こんな綺麗な写真のような紅葉は見れないと思っていたが、まさに、写真通りだったのだ。なんという色、なんという光、そしてなんという空気感だろう。

しばらく茫然と見ていたが、周りのシャッターの音で我にかえる。この美しい光景は、すぐに霧で霞んでしまうかもしれなかったのだ。写真機を三脚に取り付け、2秒間の間隔で自動シャッターを切りつづける。手押では、微妙な振動で画像がブレてしまう失敗を以前何度も経験したから今日は万全の体勢で望んだ。霧が湖面にうっすらと広がり幻想的だ。黄泉の世界があるとしたらこんなであろうか。遠くに小舟が見えた。漕いでいるのは若いカップルだろうか。どうか竹内結子さんもこんな世界へ逝かれたのであって欲しい。周囲を散策しながら白駒池の錦絵をカメラに収めた。何度でも来たくなる場所だ。今度来るときは、真っ青な秋の青空の下でこの美しい紅葉を湖面に入れながら妻の姿とともに映してみたい。竹内結子さん、ご冥福をお祈りします。
黄泉の国へ
  


Posted by モルハチ at 19:15Comments(1)トレッキングトレッキング